第一部:第3話

プロダクトアウトの
原点

プロダクトアウトの原点

鋼板の加工という付加価値から工業分野への進出を果たした奥地商店は、いよいよ住宅鋼材分野へ本格的に進出していくこになります。そのきっかけは前回お話した、長尺鋼板加工を応用させた金属屋根づくりでした。その際に導入したのが、鋼板加工のスタンダードとなっているロールフォーミング加工の原始版となる製造機器。この機械化をきっかけに、創業者、奥地進は、次々に住宅鋼材のアイデアを具現化していきます。その先駆けとして誕生させたのが、壁用に加工した鋼板を用いた製品。当時はマイホームも一般的なものになりつつある時代で、それに伴い、消防法の住宅に関する条項が定められ、防火のためにモルタルの使用が義務付けられていたのです。ただ、その施工は当時の壁材との相性は悪く、モルタルが地面に落ちてしまい非効率でした。そこで進は、鋼板が持つ縦横の強度に着目し、表面にモルタルが引っかかる加工を施し、かつ防水シートを貼った新しい製品の製造を行ったのです。これは画期的な発明として高い評価を受け、モノづくりから世の中を変えていけるという、奥地建産の原点ともいえる考え方を植えつけていったのです。ただ、かなりの高額製品だったため、販売は苦戦しましたけれど。
さて、次回からは第二部、メーカーに転身してバブルを乗り越えた奥地建産の第二創業期のお話です。乞うご期待!

OKUJI HISTORY

1970年

国産初のPC-CNCラインを開発、導入

1970年代初頭 大手ハウスメーカーと取引開始。
1980年代前半 ブラウン管テレビのフレーム製造事業に着手