第一部:第1話
商から工へ
鉄屋、「奥地商店」の誕生
敗戦から10年、日本は高度経済成長に向けて助走する逞しい姿を見せはじめていました。その活気の源になったのは、瓦礫の中から這い上がってきた若き商人たちでした。創業者:奥地進もそんな若い商人の1人でした。進は、メッキ関連の会社に勤めていたが、1950年に勃発した朝鮮動乱がきっかけで会社が倒産し、1955年、現在の大阪市平野区に鉄の卸売業である「奥地商店」を創業したのです。当時の鉄の卸は、板金業者に平らな鋼板を流通させるのが一般的でした。ある程度、定型だったために、長尺の製品にするためにはどうしても繋ぐ作業が必要になります。そのためその流通形態そのものを変えたいと考えた進は、あることに気がつき、そして誰もが手出ししなかたった方面に走り出すことになります。今だから言えますが、誰一人、進の意見に賛同する人はいなかったそうですよ。
…続きは次回、「商人だからこその新発想」で。
OKUJI HISTORY
1955年 | 「奥地商店」創業 |
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1956年 | 長尺鋼板に加工し、流通を開始 |
1950年代後半 | 小売業にもかかわらず、工場建設を考えはじめる |
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